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本と酒と怠惰

十四

何をやらせても失敗ばかり。不器用で、怒られてばかりだった。そんな私が今、身を置いている場所は誰からも怒られたり、からかわれたりしない。かといって無反応ではなく、心配をされる。そのことに違和を感じる、というようなことを先日の通院日にカウンセリングの先生と話した。

そうしてわかったことは怒りや、からかいだけが、ある失敗に対する反応のすべてではない。世界はもっと広くて、様々な反応がある。怒ることに意味がないと思っている人間もいる。だから、怒られないからといって不安がる必要はないのだと。

ハチミツとクローバー』という漫画がある。そのなかで、はぐちゃんは長野のおばあちゃんの元で長らく暮らしていた。狭い世界だ。そこから抜けだして、修ちゃんやたくさんの人間と出会っていく。私もその過程らしい。今までの小さな世界から一歩踏み出している途中。経験してきた反応とは違うものを感じること。世界を広げること。

猫を飼い始めたのも、そういう意味では、とても良い経験になっているのかもしれない。見たことのないもの、触れたことのないものを見る触る。読書と同じか。ひとつ本を読む。新しい扉が開く。また、別な本を読む。新たな扉が開く。その繰り返しだ。失敗は悪いことではない。そんな世界もあるのだ。