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本と酒と怠惰

十八

私の世界は狭かった。限られた場所と、人間と、時間。それらを、ただただ、消費するだけの生活。終わりのない、真っ暗なトンネル。

そこからすくい上げてくれた人物に出会えた。広がる世界、人間、時間。知らないものや人間に触れる喜び、悲しみ、怒り、不安。プラスもマイナスも、すべて享受すること。それはやがて私の血肉となり、新たな私が産まれる予感がする。

精神的な波の高低差が、穏やかになりつつある。一方で、公共交通機関を使用すると胃痛に見舞われる事態。けれど、微々たる変化ではあるものの、着実に快方へと向かっているので(主観的にも客観的にも)、私は悲観しない。今の課題は現状維持。頼れる人には頼る。一人で生きようとしないで、と、過去の私へと手を差し伸べたい気持ちになれる程度には余裕ができてきている。だいじょうぶだいじょうぶ。きっと、治るから。大切な人間ができると自身を大切にしたい気持ちが産まれるらしい。人間とはかくも不思議な生き物よ。