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本と酒と怠惰

三五

デイケアで、よく喋ってくれる方の中に、気分が落ち込むとメール依存になる方が一人、いらっしゃる。
その方は、お相手さんにもメールを送り続けるのだが、お相手さんの性格上、やめてくれ、とビシッと言えるはずもなく。お相手さんは、やめたいのにやめられない状況に陥っている。最近は、無視を貫くことが増えてきたけれど。
ある日、私にもメールが届いた。文字だけでも伝わってくる苦しみ、しんどさ、つらさにうっかり丁寧に返信してしまった。それからだ。"標的"の一員に私が加えられたのは。都合のいい、傷の舐め合いよりひどい繋がり。今日、その方からの不在着信があった。年上であること、服用されているお薬が多いにもかかわらず飲酒をされることなどから心配のあまりかけ直した。なんのことはない。酔っ払って、話し相手がほしいだけだったそうだ。一時間ほどだろうか。雑談に付き合った。
お相手さんは、その私の行為を責めた。理由は様々だ。お前は専門家でもないのに、味を占めてまたかけてきたらどうする。この先、一生、都合のいい話し相手で使われ続けるのか等々。正論だ。だからこそ、胸が痛んだ。次、私が電話に出られなかったらその方は、もっと寂しくなるのだろう。
デイケアで一緒の別の方が言っていた。自分も患者なのだから、できる範囲は狭いのだから、下手に手を出すな。もし手を出したなら、それは偽善だ。お相手さんにも言われた。お前は偽善者の仲間入りをしたんだと。
自身のメンテナンスで精一杯の私に、誰かを助けたりすることなど不可能なのだ。そのことを、改めて突きつけられた。でも、とも思う。私と関わることで、私から発信するなにかで、誰かにプラスの影響を与えたい。人間とはかくも欲張りよ。